子宮筋腫と漢方
子宮筋腫は、女性の生殖器系良性腫瘍において最も多く、婦人科系疾患の中では膣炎に次いで発生率が高い疾患です。
主な症状は、過多月経、過長月経、オリモノの増加、膣からの不規則な出血などです。
これらの症状は体の気血が溜まっていることが子宮に反映されているのです。
西洋医学では、子宮筋腫を発生場所によって、粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下筋腫のように3種類に分類しますが、多くは多発性であるため、3種類の筋腫が混在することがあります。
東洋医学では、子宮は元々気血が豊富な場所のため、体の気の流れが悪くなると子宮の血が滞りやすくなり、筋腫になると考えています。
道路の交通状況で考えてみましょう。渋滞は交通量がピークのタイミングで発生しやすく、1台の車が止まっただけで深刻な渋滞に繋がります
子宮に気血も同じです。元々経血があり、量も多いので、少しでも滞ると腫瘍になり得ます。
漢方では3つのタイプに分類します。
タイプ1:気滞(きたい)・瘀血(おけつ)のタイプです。
軽症の場合は月経が正常ですが、重症の場合には様々な症状が生じます。
経血が暗赤色でレバーのような血塊が混じる、乳房の張りや痛み、お腹全体または部分的に張った感じがするや漠然とした痛み、お腹が重いなどが挙げられます。
また、舌は暗赤色でうっ血や紫斑が生じることもあります。
漢方では、滞っている気を巡らせて瘀血を解消します。
漢方薬は桂枝茯苓丸料(けいしぶくりょうがん)をおすすめです。
タイプ2:陰虚火旺のタイプです。
症状として、月経不順や生理周期が乱れ、胸部や下腹部が熱くなる、乳頭に痒みや痛み、乳房が張り脇腹が痛むなどの症状が挙げられます。更年期障害の代表的なホットフラッシュ症状と似っています。
生理の終わりごろに赤と白または黄色と白いおりものが混じることがあります。
舌の苔は薄く、色は赤いまたは黄色いです。
漢方では、清熱養血することで改善します。
漢方薬は、保陰煎(ほいんせん)
地黄(じおう)6g熟地黄(しゅくじおう)6g芍薬 (しゃくやく)6g 山薬(さんやく)4.5g続断(ぞくだん)4.5g黄芩(おうごん)4.5g黄柏(オウバク)4.5g 甘草(かんぞう)3 g
タイプ3:肝鬱脾虚のタイプです。
症状として、月経が正常または月経後半に出血量が増加する傾向、月経後に透明なおりものが多いなどがあります。お腹が下がるような感じ、便秘と下痢を繰り返したり、眩暈による脱力感、食欲不振などが伴います。
舌体の色は薄く、薄い苔があって、縁に歯型がつくほど肥大した状態です。
漢方では、精神的なストレスを緩和し、気の巡りをよくして、憂うつを解消していきます。
漢方薬としては柴胡疎肝湯 (さいこそかんとう) がよいと言われます。
漢方の外治法も子宮筋腫の治療に有効です。
一般的には柴胡、タンポポ、生姜、白芍を使用します。
瘀血や痰が絡むタイプの腫瘤には、ウコン、アキノノゲシ、没薬を加える。
寒滞のタイプは、タンポポとセプトリアを取り除き、観菊と五苓散を加えます。
漢方薬を100mlまで深煎り、1日1回、15回、直腸内へ少量の薬液を注入します。安全かつ治療効果を高めるため、薬液の温度は38℃が適切です。
また、鍼灸治療との併用も可能です。
関元、水道、水三里、三陰交を主なツボとし、10〜20分保定します。
鍼灸治療は月経中には行いません。治療の際は腫瘤部を避けて鍼を刺します。
無症状の平滑筋肉腫は、特に閉経が近い女性では、通常治療の必要はありません。
閉経後、筋腫は徐々に縮小・消失する傾向にあり、3〜6ヶ月に1回の経過観察で十分です。 ただし、以下の場合は早急に治療を行う必要があります。
・過多月経により貧血を引き起こし、倦怠感が続く、めまいや立ちくらみを起こすなどの症状がある、
・薬物治療で効果が得られなかった場合
・激しい腹痛、長期にわたる慢性的な腹痛、有茎筋腫の茎がねじれると激痛や吐き気を起こす場合
・頻尿、下腹部痛、腰痛、腹部膨満感、膀胱や直腸の圧迫感症状がある場合
・不妊や反復流産と断定できる場合
・筋腫が急速に増殖し悪性が疑われる場合
まとめ
女性は感情のコントロールに注意が必要です。精神的ストレスによる感情の起伏は、多くの病気の原因や増悪因子となります。怒りや悲しみ、考え事や心配事を防ぎ、充実した幸せな気分で明るくポジティブな考え方で楽観的に過ごすよう心がけることが大事です。
ストレスの無いひとはいないと言い切ってもいいほど現代ではありますが、どう向き合うかはあなた自身です。
十分な睡眠、適切な運動、なんかあった時でも慌てずに理性に判断して行動する心構え、こまめにストレスを発散するように心をかけましょう。
※本記事は中国の北京朝陽中医医院の王紅シン先生の記事を参考して情報を収集しました。誤った内容がないように心かけておりますが、ご参考までにお読みいただければ幸いでございます。
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